昨晩の夕食時、大好物のスペアリブを夢中で食べていた時のことです。ガリッという嫌な音が口の中で響き、次の瞬間に舌先に触れたのは、これまでに感じたことのない尖った違和感でした。鏡を見て絶句しました。上の前歯の先端が、斜めに大きく欠けていたのです。一瞬にして血の気が引き、パニックに陥りそうになりましたが、以前雑誌で読んだ「歯が欠けた時の応急処置」の知識が脳裏をかすめました。まず私は、テーブルの上に落ちたはずの破片を必死で探しました。幸いにも3ミリメートルほどの白い欠片を見つけることができ、私はそれをすぐに洗面所に運びました。ここで水道水で洗いたい衝動に駆られましたが、ぐっと堪えて、冷蔵庫にあった冷たい牛乳をコップに注ぎ、その中に破片を沈めました。乾燥させないことが重要だと知っていたからです。次に、鏡で自分の口の中を確認しました。幸い出血は少なく、激しい痛みもありませんでしたが、冷たい空気が触れるとピリッとした刺激を感じました。これは象牙質という層が露出している証拠だと思い、できるだけ口呼吸を避け、患部を安静に保つように努めました。時刻は夜の20時を回っており、かかりつけの歯科医院はすでに閉まっていましたが、私はすぐにスマートフォンで「夜間救急、歯科」と検索し、車で30分の場所にある休日夜間診療所に電話をかけました。電話口で「食事中に前歯が欠けたこと」「破片は牛乳に浸して持っていること」「出血は止まっているがしみる感じがあること」を伝えると、受付の方は「すぐに向かってください」と言ってくれました。診療所に着くまでの間、私は欠けた歯を舌で触りたい衝動を必死に抑えました。舌で触ることで細菌が入り込んだり、尖った部分で舌を切ってしまったりするリスクがあるからです。到着後、歯科医師の先生は私の適切な応急処置を褒めてくださいました。「牛乳に入れて持ってきてくれたおかげで、破片の状態がとてもいい。これなら今日は接着して、元の形に修復できる可能性が高いですよ」という言葉を聞いた時、ようやく心の底から安堵しました。実際の処置は、患部を清掃し、特殊な光で固まる樹脂を用いて破片を元の場所に戻すというもので、わずか30分ほどで私の歯は元通りになりました。もし私が、欠けた歯をゴミだと思って捨てていたり、乾燥させたまま放置したりしていたら、もっと大掛かりな被せ物の治療が必要になり、費用も時間もかかっていたことでしょう。この経験を通じて私が痛感したのは、非常事態こそ知識が武器になるということです。歯が欠けた瞬間にどれだけ冷静になれるか、そして「牛乳に浸す」「触らない」「すぐに電話する」という3つのステップを忠実に守れるかが、自分の体の一部を守るための境界線になるのです。今では何事もなかったかのように食事を楽しめていますが、あの時の冷や汗が出るような感覚は、今でも忘れることができません。