私はもともと、健康や美容に関して自然派志向が強いタイプでした。食品はできるだけ無添加のものを選び、化粧品もオーガニックなものにこだわっていました。その流れで、毎日口に入れる歯磨き粉にも疑問を持つようになったのです。「フッ素や発泡剤は本当に安全なのだろうか」「もっと自然なものでケアできないか」そう考えていた時に出会ったのが、「塩で歯磨き」という昔ながらの知恵でした。天然の塩なら安心だし、歯茎が引き締まるという効果も魅力的。そう信じ込んだ私は、早速その日から、食卓にあるごく普通の塩で歯を磨き始めました。最初のうちは、とても良い感触でした。市販の歯磨き粉のような泡立ちはありませんが、塩の粒で磨いた後は、歯の表面がキュッと鳴るような独特のさっぱり感がありました。歯茎も心なしか引き締まったように感じ、「これこそ求めていたものだ」と満足していました。友人にも「塩で歯を磨くとすごく良いよ」と勧めていたほどです。しかし、その習慣を三ヶ月ほど続けた頃から、歯に異変を感じるようになりました。まず、冷たい水を飲むと、奥歯がキーンとしみるようになったのです。最初は気のせいかと思っていましたが、その痛みは日に日に強くなり、アイスクリームを食べるのが怖くなるほどでした。そして、鏡で自分の歯をじっくりと見て、もう一つの変化に気づきました。以前よりも、歯が少し黄色っぽく、透明感がなくなっているように見えたのです。不安になった私は、久しぶりに歯科医院の扉を叩きました。そこで歯科医師から告げられた言葉は、私にとって衝撃的なものでした。「塩で歯を磨いていませんでしたか?エナメル質がかなり削れて、知覚過敏になっていますよ」。先生によると、塩の粗い粒子が歯の表面を傷つけ、エナメル質が薄くなったことで、外部の刺激が神経に伝わりやすくなっていたのです。歯が黄色く見えたのも、エナメル質の下の象牙質が透けて見えていたからでした。良かれと思って続けてきた習慣が、自分の大切な歯を傷つけていた。その事実に、私は言葉を失いました。あの独特のさっぱり感は、歯が削れていたサインだったのです。
良かれと思ったのに塩歯磨き後悔体験談