奥歯でグッと噛みしめた時、特定の歯だけがグラっと揺れるような、あるいは浮き上がるような鈍い痛みを感じることはありませんか。虫歯のような鋭い痛みではないけれど、食事のたびに気になるその不快感。それは、日本人の成人の多くが罹患していると言われる「歯周病」が、かなり進行していることを示す危険なサインかもしれません。歯周病は、歯垢(プラーク)の中の細菌によって歯茎に炎症が起きる病気ですが、その本当の恐ろしさは、症状が静かに進行し、やがて歯を支えている顎の骨(歯槽骨)を溶かしてしまう点にあります。初期段階では歯茎からの出血程度の症状ですが、進行するにつれて骨が溶かされ、歯と歯茎の間に「歯周ポケット」と呼ばれる深い溝ができていきます。そして、歯を支える土台である骨が失われていくと、歯は徐々に安定を失い、グラグラと動揺し始めます。この状態で食事をすると、健康な歯なら余裕で受け止められるはずの噛む力に、歯とその周りの組織が耐えきれなくなります。グラグラした歯が沈み込むように動き、歯の根の周りにある歯根膜というクッション組織に過剰な負担がかかって炎症を起こし、「噛むと痛い」という症状として現れるのです。これは、まるで杭が緩んだ看板が、風でガタガタと音を立てるようなものです。この痛みを放置することは、歯の喪失に直結します。歯周病によって一度溶かされてしまった骨は、基本的には元に戻りません。治療としては、歯周ポケットの奥深くについた歯石やプラークを徹底的に除去する専門的なクリーニングを行い、これ以上病気が進行しないように食い止めることが中心となります。そして、何よりも大切なのが、日々の正しいブラッシングによるセルフケアです。噛んだ時の痛みは、あなたの歯が「もう支えきれない!」と悲鳴を上げている証拠。手遅れになる前に、歯科医院で歯周病のチェックを受けることを強くお勧めします。
歯がグラグラして痛い…それ、歯周病のサインです