ボトックス注射は、シワを消し去り、若々しい印象を手に入れるための魔法のように語られることがあります。しかし、その魔法には有効期限があるという、極めて現実的なデメリットから目を背けることはできません。ボトックスの効果は永久ではなく、注入されたボツリヌス・トキシンは、時間と共に体内で分解・吸収されていきます。個人差や注入部位にもよりますが、その効果は一般的に三ヶ月から半年ほどで徐々に失われ、やがて筋肉の動きは元に戻り、再びシワが刻まれ始めるのです。この「効果の有限性」は、長期的な視点で見ると大きなデメリットとなり得ます。効果を維持するためには、年に二回から三回のペースで施術を継続する必要があるからです。これは、決して安価ではない施術費用を定期的に支払い続けなければならないことを意味します。一回の出費は許容範囲内だとしても、それが数年、十年と続いた場合のトータルコストは相当な額になります。また、費用だけでなく、定期的にクリニックへ通う時間と手間もかかります。忙しい日々の中でスケジュールを調整し、施術を受けに行くという行為そのものが、次第に負担になっていく可能性もあるでしょう。そして、この継続的な施術は、精神的な依存を生む危険性もはらんでいます。一度ボトックスによってシワのない状態を知ってしまうと、効果が切れて元の顔に戻ることが耐えられなくなり、「やめたくてもやめられない」という心理状態に陥る人も少なくありません。ボトックスを始めることは、終わりなき美容医療のサイクルに足を踏み入れることかもしれない。そのデメリットを理解した上で、自分のライフプランや経済状況と照らし合わせ、長期的な付き合い方を冷静に考える必要があるのです。