「奥歯が一本くらいなくても、食事はできるから大丈夫」。そう考えて、抜歯したままの場所を長期間放置していませんか?しかし、歯がない場所から時折感じる鈍い痛みは、あなたの口の中、ひいては体全体で静かに進行している「崩壊」の始まりを告げるSOSサインかもしれません。奥歯を一本失うということは、単に歯の数が一つ減る以上の、深刻な影響を及ぼします。私たちの歯列は、全ての歯が適切な位置で噛み合うことで、精巧なバランスを保っています。一本でも歯がなくなると、ドミノ倒しのようにそのバランスが崩れ始めます。まず、空いたスペースに隣の歯が倒れ込み、向かいの歯が伸びてきます。これにより、全体の噛み合わせが狂い始め、特定の歯にだけ過剰な力がかかるようになります。その結果、健康だった他の歯が欠けたり、ヒビが入ったり、歯周病が悪化したりするのです。歯がない場所の痛みは、まさにこうした二次的なトラブルが原因で起きていることが多いのです。また、噛み合わせのズレは、口の中だけの問題に留まりません。顎の関節に負担がかかり、「カチカチ音がする」「口が開きにくい」といった顎関節症の症状を引き起こすこともあります。さらに、片側でしか噛めなくなることで顔の筋肉のバランスが崩れ、顔が歪んで見えたり、頭痛や肩こりの原因になったりすることさえあります。そして、しっかり噛めないことは、消化不良にも繋がります。食べ物を十分に咀嚼できないまま胃に送ることで、胃腸に負担をかけてしまうのです。歯がない場所の痛みは、「ここに問題があるよ」という体からのメッセージです。その小さなサインを無視し続けると、やがて口全体の再建が必要になるような、大掛かりで高額な治療が必要になるかもしれません。手遅れになる前に、歯科医院で相談し、適切な治療を受けることが、将来の健康を守るための最善の策なのです。
奥歯がないまま放置は危険!痛みが知らせる体のSOS