体のために良い飲み物を取り入れようと努力していても、知らず知らずのうちに炎症を悪化させる飲み物を摂取していては、その効果は半減してしまいます。健康的な生活を目指すなら、「何を飲むか」と同時に、「何を飲まないか」という視点を持つことが非常に重要です。まず、最も注意すべきなのが、砂糖が大量に含まれた清涼飲料水や甘いフルーツジュースです。これらを飲むと血糖値が急激に上昇し、体内で「終末糖化産物(AGEs)」という老化物質が大量に作られます。このAGEsは、体中の組織にダメージを与え、強力な炎症反応を引き起こすことが分かっています。果汁百パーセントのジュースも、果物から食物繊維が取り除かれているため、砂糖水と大差ないほど血糖値を上げやすいので注意が必要です。次に、アルコールの過剰摂取も慢性炎症の大きな原因となります。アルコールが肝臓で分解される過程で活性酸素が発生するほか、腸内環境を乱し、「リーキーガット」と呼ばれる腸の粘膜バリアが壊れた状態を引き起こすことがあります。これにより、未消化物や毒素が血中に漏れ出し、全身に炎症が広がってしまうのです。また、コーヒーに入れるクリームにも罠が潜んでいます。一部の安価なコーヒーフレッシュには、「トランス脂肪酸」という炎症を促進する悪質な油が含まれていることがあります。成分表示をよく確認し、牛乳や豆乳を選ぶようにしましょう。日々の生活からこれらの飲み物を完全に排除するのは難しいかもしれません。しかし、まずはそのリスクを認識し、飲む回数や量を少しずつ減らしていくこと。それが、体内の静かな火事を消すための、最も効果的で最初の一歩となるのです。