「まあ、昔の人もやっていたんだし、たいしたことないだろう」。塩での歯磨きについて、そんな風に軽く考えているとしたら、それは非常に危険なサインです。塩歯磨きがもたらすダメージは、静かに、しかし確実にあなたの口の中で進行していきます。その習慣を続けた先に待っている「末路」を知れば、今すぐその塩を歯ブラシから置きたくなるはずです。塩歯磨きを始めた直後は、むしろ良いことばかりのように感じるかもしれません。塩のしょっぱさが口の中をさっぱりさせ、歯茎もキュッと引き締まったように感じられます。歯の表面の着色が少し取れて、白くなったと錯覚することさえあるでしょう。しかし、これは嵐の前の静けさに過ぎません。中期的な影響として、まず現れるのが「知覚過敏」です。毎日、硬い塩の粒子で歯をこすり続けることで、歯の表面のエナメル質が徐々に削られて薄くなっていきます。その結果、外部からの刺激(冷たい、熱い、甘いなど)が、歯の内部にある神経に直接伝わりやすくなり、歯がしみるようになります。この段階で、多くの人が「何かおかしい」と気づき始めます。そして、この危険な習慣をさらに続けた先に待っているのが、長期的な、そして取り返しのつかないダメージです。エナメル質が完全に削れて、その下にある黄色い象牙質が広範囲に露出します。こうなると、歯はもはや白くはなく、明らかに黄色く見えるようになります。知覚過敏の症状はさらに悪化し、食事をすること自体が苦痛になるかもしれません。さらに深刻なのが、「歯肉退縮」です。歯茎もまた、塩の物理的な刺激に耐えきれず、じりじりと下がり始めます。歯の根元が露出し、歯が以前より長く見えるようになります。これは、見た目にも老けた印象を与えてしまいます。そして、露出した歯の根はエナメル質に覆われていないため、非常に虫歯になりやすいのです。最終的に待っているのは、知覚過敏に苦しみ、見た目も悪く、虫歯だらけになってしまった口腔環境です。最も恐ろしいのは、一度削れてしまったエナメル質や、下がってしまった歯茎は、二度と自然には元に戻らないという事実です。失ってから後悔しても、もう遅いのです。塩で歯を磨くという行為は、短期的なさっぱり感と引き換えに、歯の寿命そのものを削り取っていく行為に他なりません。この記事を読んだ今が、その習慣と決別する最後のチャンスです。