顎関節症は現代病とも呼ばれ多くの人がその症状に悩まされていますが発症した際に適切な医療機関を選択できる患者は意外と少ないのが現状です。顎関節症の三大症状である顎の痛み関節雑音開口障害が現れた場合患者は自身の症状をどの診療科の範疇であるか判断するのに苦慮します。耳の前あたりが痛むため耳鼻咽喉科を受診するケースや関節の不具合として整形外科を受診するケースが後を絶ちませんが結論から言えば顎関節症の専門的な診断と治療を行えるのは歯科口腔外科および顎関節症に精通した歯科医師のみです。これは顎関節が咀嚼という口腔機能の一部を担う器官であり歯列や咬合と不可分の関係にあるためです。一般的に整形外科は全身の骨や関節を扱いますが顎関節だけは専門領域から外れていることがほとんどです。これは医師免許と歯科医師免許の管轄の違いにも起因しており顎口腔領域は歯科医師の独占業務となっているからです。したがって顎が痛いからといって整形外科を受診しても鎮痛剤を処方される程度で根本的な解決には至らず歯科への受診を勧められるのが通例です。また耳鼻咽喉科に関しても耳の痛みと顎関節症の痛みを混同して受診する患者は多いですが鼓膜や外耳道に異常がないことを確認された上でやはり歯科口腔外科への紹介となるケースが大半です。このように専門外の科を受診することは患者にとって時間と費用のロスになるだけでなく適切な初期治療の遅れにもつながりかねません。理想的な受診行動としてはまず日本顎関節学会が認定する専門医や指導医が在籍する医療機関を探すことです。これらの医師は顎関節症の病態生理に精通しており保存療法から外科療法まで幅広い選択肢の中から最適な治療方針を提示することができます。しかし専門医の数は限られているためまずは近隣の歯科医院の中で口腔外科を標榜しているクリニックを探すのが現実的でアクセスしやすい方法です。口腔外科を標榜している歯科医師は抜歯や外傷の処置だけでなく顎関節のトラブルにも慣れていることが多く初期診断やスプリント療法などの基本治療を行うことが可能です。さらに近年では顎関節症の原因として心理的なストレスやTCHと呼ばれる歯列接触癖が大きく関与していることが明らかになっています。そのため単に顎を治療するだけでなく生活習慣の改善指導や認知行動療法的なアプローチが必要になることもあります。こうした多角的な視点からの管理ができるのも口腔機能管理のプロフェッショナルである歯科医師の強みです。重症化して関節円板の癒着や変形性顎関節症へと進行してしまう前に適切な医療機関で正しい診断を受けることが患者のQOLを守る上で極めて重要です。自己判断で市販薬を飲み続けたり整体やマッサージに通ったりする前にまずは科学的根拠に基づいた医療を提供する歯科口腔外科の門を叩くべきです。
顎の痛みや音に悩む患者が最初に訪れるべき医療機関の正解